お昼の東洋哲学

日本の伝統的価値観だとか殊更に言われるようになった昨今。ほんとうにそれは伝統的な価値観なのか基本に立ち返ってみよう。お昼に1つずつどうぞ。序をのぞき全10章。

3 世界初の死刑廃止国・日本

世界初の死刑廃止国・日本

 

 日本が世界初の死刑廃止国であることは、あまり知られていない。

 日本は725年に最初の「死刑廃止」を宣言する。これは世界初の死刑廃止である。他国に於いては1786年、中部イタリアの都市国家トスカナで、ルソーの思想からの発展で実施されたのが初めてとされており、これよりも1000年あまり先立っている。

 

 その後、一旦死刑制度は復活した後、810年に一人死刑に処せられて以降、1156年に源為義が死刑に処せられるまで、347年間もの長期間、事実上一人も死刑に処せられていない。さらに大化(645年)〜寿永(1184年)までの539年間で見ても、その間の347年間は先述のように一人も適用されず、それ以外の期間でも「権力闘争の結果としての死刑」以外は存在しない。

 どうして死刑を否定したのか。その理由は様々で、因果応報を恐れたから、仏教的価値観から殺生を避けた、治世のために死刑はむしろ逆効果と考えた等様々である。 

 

参考文献『日本死刑史』(布施弥平治著・成光館書店)